叫び
両手に、両足に、胴に、喉に、頭に。
ありとあらゆる箇所に鋭利な刃が突き刺さっている。
剣を伝って畳に落ちた鮮血が葵の足元を赤く染めている。
普通の人間であれば間違い無く死亡している。
葵は掻き切られた喉でその名を呼ぶ。
「…………」
だが、それは声にならない。音が全く発せられない。
それでも彼女は口を動かしている。
声が、緋影に届くと信じて。
「でもどうしてあなたが彼の為に剣を捨てたのかしら?ひょっとして惚れてるの?」
そいつは嘲るような口調で言うと、更に数本の剣を葵の喉に、目に、顔に突き刺す。
「そんな事をして仮に彼が気がついたとして、今の深山君に何が出来ると言うの?」
しかし、葵は声を絞り出す。
掻き切られた喉が虚しく粘性の液体の中でひゅーひゅーと鳴っている。
それでも唇を動かす。
苦しそうに。
鮮血を吐き出しながら。
その名を。
魂の叫びで、呼ぶ。
「……ミ……ヤ……マ……クン……」