罪悪感
「……どうやら、深山君の罪は、私では想像も出来ないことなんでしょうね」
葵はそう言って天井を見つめている。
「ですが、深山君。人間は罪深い生き物です。生きていくには他の生き物を犠牲にしなければ生きていけない、人間はそんな罪深い存在なんです」
「先輩?」
話がずれた事もあるが、彼女の声質が変わったような気がする。
彼女の表情は緋影からは見えない。
「ですから、人間は罪を償う為に生きていると思います。犠牲にした他の命の分まで」
「……やっぱり駄目だ、先輩……俺が犯した罪はあまりにも重すぎる……どうやったって償えない」
緋影は葵の言葉に対し、かぶりを振りながら苦しそうに呟く。
「それはそうです。どんな事をしたって、その罪事体が消える訳ではありません。罪はどうやったって消える訳ではありません」
葵は大きく息を吸い込み、
「償う、というのは人生の過程、つまり、その人の生き方。どのようにその人が思考し、どのように行動を起こすか……」
緋影に言い聞かせているのか、あるいは自身に言い聞かせているのか。
「……苦悩し、足掻いて、必死に生きていく。それが償いだと私は考えています。ですから、深山君は大丈夫です。深山君は償える人ですよ。世の中には罪を償えない人もいるでしょうけど……深山君は間違いなく償える人ですよ」
どこか彼女の雰囲気がいつもと違うと感じるのは気のせいだろうか。
葵を見る眼鏡がほんの少しだけずれた。
見えたのは深い哀しみの青。
そして闇より暗い罪悪感。