夜の風
思考が凍る。
もし、彼女が誰かを襲っていたなら、自分はどうすればいいのだ?
彼女を止めるというのはわかっている。
でもどうやって?
……死ぬまで、彼女は止まれない……
……ケツイガ、ユレル……
(……考えるのは、よそう)
今は何が起こっているのか確認だ。
(……よしっ!)
ナイフ片手に音源に向かう。すぐにでも眼鏡を取れる準備はしてある。
そこでは二人の人物が戦っていた。
一人は、あの白マントだ。風のような動きで相手の斬撃をかわし続けている。
もう一人は小川……ではなかった。
濃紺のコートとスカートに白のブラウス、編上げた黒のブーツ。右手には不気味な輝きを放つ黒剣を持っている。小川と対峙した時に緋影を救ってくれた人物。
一瞬のうちに白マントと黒剣を持つ者は交差する。
激しい剣撃を繰り出す相手に対し、白マントはただかわし続けるだけだ。
そして数撃繰り出した濃紺のコートを纏った人物は距離を取った。
白マントも同様に軽やかな足取りで後退する。
「……一体どういうつもりなんですか、ウインド・オブ・ナイト夜の風」
どうやら黒剣を持つ者の声のようだ。どこかで聞いたことのあるような声。