発見
……だが……
(……いくらあれで死ななかったとはいっても、重傷には変わりなかったのかもしれない。警戒して出てこないかもな……)
彼女の姿は一切見当たらなかった。
それはまずい。あの怪我でも殺人を犯したのだから彼女にとってはそれほどの傷ではなかった、と考えていた緋影は焦った。時間がたてば大竹は退院する。
もうすでに陽が暮れ始めている。
周囲を影が包み始め、赤い光のみが世界を照らしている。
(とりあえす、殺害現場に行ってみるか)
昨日、彼女とあった公園へ。
緊張した足取りで歩を進める。
どこから彼女が出現しても対応できるように五感を研ぎ澄ませる。
が、その必要はなかった。
彼女は、小川美奈は夕日をぼうっ、と見上げている。
「あ、深山君」
正真正銘彼女の声。
眼鏡を少しずらす。
昨日のどす黒い不吉な『色』は影を潜めているように見える。
これなら、説得も出来るかもしれない。
「……小川」
それでもゆっくりと、ゆっくりと、警戒しながら彼女に歩み寄る。
「それ以上来ちゃ駄目だよ、緋影君」
深山君、とは呼ばずに、緋影君と彼女に呼ばれたのは初めてだ。
「近寄ったら、私、きっと緋影君殺しちゃうよ?」
哀しそうに、首だけをこちらに向けて儚げに微笑む。
「……殺すだなんて物騒なことを……」
本気だというのは、わかっている。