化物
自分がこの力を持っている理由。それはわからない。
だが、この力を使うかどうか『考える』時がやってきたことはわかっている。
「……親父……すまん」
そして、答えはすでに出ている。
父は今でも自分をこの呪われた力から救う為の術を、世界中を駆けずり回って探しているのだろう。今なら父が言っていた『考える』の意味がよくわかる。『心眼』を使ったら、きっと自分はイカレてしまう。
「……俺は……『心眼』を使う」
それでも小川は放っておけない。
彼女はもう普通じゃない。それこそ文字通りの『化物』。
あれだけの力なら、造作もなく人間を細切れにする事が出来るし、仮に人目についてもそれを気にする必要もあるまい。見られたら殺せばいいのだから。
人間に比べたら不死身に近い生命力を持った化け物と再び闘う。
……怖い……
死ぬかもしれない、という恐怖が心を押しつぶそうとする。
だがそれ以上に。
(……苦しい、深山君)
(……このままだと……深山君を殺しちゃう……!)
怯えた声。恐怖に震える体。
……一瞬だけ正気を取り戻したように見えた瞳と、笑顔……
(困った時に颯爽と現れて悪い奴を倒す、みたいな典型的な正義の味方)