狂える刃

「なるほど、深山君の言い分はわかりました」

葵は一呼吸置いて言った。しかし、手は離されてはいない。むしろ一層力強く握られている。

「ですが、そんな事はぶっちゃけて言ってしまえば私には関係ありません。その……なんですか、私が深山君に優しくするのは深山君の意思なんか関係ないんです。私がしたくて、勝手に優しくしているだけなんですから。ですから……」

そこまで言うといきなり沈黙してしまった。

彼女の顔が赤くなっていることを、俯く緋影がわかるはずもない。

「ですからっ!深山君には責任をしっかり取って貰う為にも、いてもらいますっ!いけませんかっ!?」

いきなり叫び出した彼女に面食らう緋影。

(俺は今、何か先輩を怒らせるような事をしただろうか?)

緋影の表情には明らかに焦りが出ていた。

「せ、先輩?どうしたの?お、落ち着いて……」

「とにかくっ!深山君が大丈夫だと私が判断するまで帰しませんっ!文句はありますかっ?!」

しかし、葵は緋影の言葉には耳を傾けずに、凄まじい剣幕で怒鳴るのみ。

そんな葵に緋影は首を縦に振るしかなかった。